お宅訪問

Interview 04

自由をまとう家。

外はハコ、中は吹き抜け限りなく自由で遊び心ある家

森や苔を思わせる、モスグリーンの外壁。
ドアと窓一つしか見えない、謎に包まれたハコ型の家には
自由で温かい空間が広がっていた。
暮らしや未来を楽しく描ける、
世界に一つだけの住まいの秘密に迫った。

デザインに惚れて人柄にもっと惚れて選んだ

カフェと見間違えそうな、モスグリーンの真四角なお家。個性的だけど目立ちすぎず、住宅街にも溶け込む優しい色だ。壁の中にあるレッドパイン製のドアを開いて出迎えてくれた、Kさん夫婦。「この緑色のお家の写真を雑誌で見つけて、『同じようにしたい』って熱望したんですよ」と話してくれた。ここは、熊本地震で震度7を2度計測した益城町。住み始めて2ヵ月で被災したが、幸い家に被害はなかった。「デザイン重視で作ったつもりの家だったけど、耐震性なども〝当たり前〟に強くて、さすがSORAさん! って安心しました」と奥さま。まだ片付けに追われる大変な時期だったが、快く取材に応じてくれた。

「世界に一つだけの家をつくりたい」と思っていた夫婦がたどりついた[SORAデザイン]のホームページ。「施工例の写真はどれもデザイン性が高く、バリエーションも豊富。私達だけの1棟をかなえてくれそうと興味を持ちました」。そしてある日、ふらりと予約もなく同社を訪問すると、「第一印象で私達に『合いそう』だと直感しました」と振り返るご主人。対応してくれた社長とは、まるで旧来の友人のように、家への想いや要望を気さくに何でも話せた。「ここなら思い通りの家づくりがかないそう」と確信したというご主人。自分たちの家をどう仕上げてくれるか、ワクワクが止まらなかった。

家族が自由気ままにラクして暮らせる家を

K邸は外からは〝ほぼ壁〟しか見えないが、中に入ると明るく開放的で、そのギャップに驚かされる。玄関以外は中庭に面し、吹き抜けの高い位置に大きな窓があるため、圧迫感は皆無で自然光がさんさんと入るのだ。シンプルなハコ型、そして防犯面で外から守られる家が、夫婦が家づくりに出した最初の希望だった。

 「間取りが決まるまではかなり時間をかけました。何しろ、かなえたい夢が多くって(笑)」と奥さま。その希望の多くは、「いかにこの家でラクに暮らすか」で占められたそう。例えばキッチンは、奥さまが極力動かずにいろんな作業ができるコの字型の造り。ダイニングテーブル兼カウンターに料理を出すのは楽々で、足元やパントリーの収納も十分。洗濯機や水廻りも近く、洗濯物干しまでのスムーズな動線も練りに練った。あらゆるデッドスペースに収納をつくったので、憧れの〝モノが少ない空間〟も実現した。

「この階段の踊り場がどうしても欲しかったんです」と隣でご主人が熱弁する。リビングと2階への吹き抜けを回り込むアイアンの階段は、リビングの一部のように、座ったりくつろいだりもできる。この踊り場の角にお気に入りの椅子を置いて、読書をしながら家を眺めるのが、奥さまの好きな時間の過ごし方。そして、踊り場下の収納スペースは、今や2歳の息子さんのとっておきの隠れ部屋だ。家族3人ともいろんな場所に「居場所」をつくって、思い思いに過ごす。ハコ形の家の中には、想像以上に自由で、躍動感のある、フレキシブルな空間が広がっている。

インドアで、アウトドア裸足で遊べる中庭

このお家は壁が少なく感じるぐらい広いですね、と話すと「それもこだわりなんです」と奥さまはニコリ。2階にあえて子ども〝部屋〟を設けず、代わりにフリースペースが広がっている。「子ども部屋として使えるし、子どもが巣立ったら趣味スペースにもできるし、とにかく自由に使える空間にしたかったんです」。水廻りと寝室以外は、仕切りのない一つの空間になっている。

そして、杉板が貼られた中庭も自由な空間の一つ。ご主人こだわりのフルオープンの窓を開けると、屋外なのにLDKにいるような、不思議な居心地の良さを感じる。「子どもと裸足でも遊べるし、友人とバーベキューをしたり、夏にプールを出したり、夜に親子で寝転がって天体観測したり…。これからどんな使い方をしようか、楽しみで仕方ありません」と語る奥さまの目線の先には、中庭を思い切り駆け回る息子さんの姿があった。

〝好き〟と〝楽しい〟がめいっぱい詰まった住まい

学生時代サッカーをしていたご主人。息子さんに買い与えた世界大会公式球の定位置は中庭で、今は息子さんの良い練習場になっている。各部屋には、奥さまがお家に合わせて揃えた北欧デザイナーの椅子やソファ。世界でただ一つのハコ型の家は、家族の〝好き〟と〝楽しい〟であふれている。

「私達が望む家づくりにとことん付き合ってくれて、本当に感謝しています」とご夫婦。避難生活からここに戻ったとき、地震前と変わらない姿で、家族を守ろうとするかのように凛と建つ家に、この上ない安心を感じたそう。帰ってきて「ほっ」とできる家族の特別な居場所の価値は、計り知れない。

益城の家 K House    soramado
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