北欧デザインと遊ぶ家。
寄り添ったのは人の気持ち。思いを包み込む包容力のある家
情趣あふれる商店街を抜けた先に
辿りついたのは、由緒あるお寺。
奥さまのご実家であるこのお寺の境内に
2世帯が暮らす新居を構えたNさん一家。
さて、その住み心地はいかに。
北欧インテリアに馴染む自然体の暮らしをデザイン
6年前、ご主人の出身地である福井県から帰熊したというNさんご夫妻。現在は、3人の息子たち、奥さまのご両親との7人暮らし。奥さまの実家である熊本に戻ると同時に新居の話が持ち上がると、雑誌で見た[SORAデザイン]の家にご夫婦そろってピンと来たのだとか。
「私の好きな北欧家具とも相性のいい、どこか温かみのある自然体のデザインは〝ココ!〟と即決でした」と語る奥さま。さらに、奥さまのご実家は伝統あるお寺。「もちろん、私たち好みの家を作りたいと願ってSORAデザインに家づくりをお願いしたんですが、やはり第一条件はお寺の雰囲気に合う見た目でした」と話すご主人。「それらを〝制約〟ととらえるどころか、何倍にも可能性を膨らませた提案をいただいた時には、その発想に感動さえしました。さまざまな事情で当初の案は実行できなかったのですが、それでも私たちの意をきちんと汲んで取り入れてくださった今の家にはとても満足してるよね」と顔を見合わせるNさんご夫妻。
奥さまの長年の夢を叶えたお気に入りの並ぶリビング
奥さまの趣味だという北欧雑貨で彩られたリビングは、ご夫妻のお気に入り。「私は幼い頃から人が出入りする環境で育ちました。昔ながらのつくりの家は、プライベートなんてないのが当たり前でした。だから、新居は私の大好きな世界観にあふれた空間にしたかったんです」とうれしくて仕方がない様子の奥さま。来客のある日には、コレクションが並ぶキッチンの飾り棚からカップを選ぶ瞬間が何よりも癒されるそう。「新居に越してからは花のある空間の魅力を再発見しています」と奥さま。
Nさん一家のお寺は別名「花の寺」の異名を持つほど、花が咲き誇るお寺だったそう。「昔から母はどんなに忙しくても、境内のお花の手入れだけは欠かすことがなかったんです。今は花も少ないですが、これからは少しずつ私が手入れしていけたらいいな…」と呟く奥さまの言葉に家族への思いが滲む。
内と外を緩やかに繋ぐ中庭は現代版の縁側
Nさんご夫婦がその存在に目を見張るのは、家の中心にある中庭。「家のどこに居ても光が射して、明るくて気持ちいいんです」とご主人。「人の出入りの多いわが家にはピッタリでした」とも。というのも、N家にとってこの中庭は、内と外の曖昧な空間である縁側のような存在だ。閉鎖的すぎないつくりは、家族も訪れる人も、互いに気兼ねなく関係性を深めていくことができる。「2世帯での暮らしも中庭を介して空気感を共有する程よい距離感で暮らせています」と新居の住み心地は上々のようだ。「天気のいい日、中庭でランチを食べたのも気持ちよかったね!」とご主人は無邪気に笑う。
続けて「そうそう」と奥さまが話してくれたのは、雨の日の快適さ。「この地域は高温多湿な環境で、以前は湿気との戦いでした。こんなにも雨の日を快適に過ごせることに驚きました」。
家族の絆を深めてくれる大好きな家で過ごす時間
1階部分にリビングと水回り、2階部分に個々のスペースを設けたN邸。…のはずであるが、賑やかな3兄弟にとってはN邸は〝3階建て〟だとか。それは、子どもたちにとって格好の遊び場である子ども部屋のロフトスペースを指し示す。取材班が「ロフトを見せてもらってもいい?」と訪ねると、兄弟は「まだ片付けてないけど、いい!?」と大慌て。ゆるやかに繋がる空間が多いN邸だが、ご夫妻もこのロフトだけはあえて一切足を踏み入れることはしないのだとか。チラリと見えたスペースには、ブロックで作ったロボットやアニメのキャラクターが見張り番のように並んでいた。奥さまに「3人の子育ては並大抵ではないのでは?」と尋ねると「近所のおじさんが言ってくれたんです。家族の中でコミュニケーションをしっかり取れていれば、社会に出ても大丈夫。だから兄弟喧嘩もいいことなんだよ、って。私たちは泣き声を聞いて本当に大人の手が必要な時以外は、本人たちに任せているんです」。「SORAデザインは、そんな私たちの価値観や細かい要望も聞いてないようでちゃーんと聞き入れて形にしてくれているのがすごいところ。おかげで家族の誰にとっても居心地のいい新居ができました」。そう語る奥さまの表情は終始穏やか。子育てに、毎日のお勤めにと忙しない日々を過ごしながらも、N邸に響くのは今日も明るい笑い声だ。